✦受け継がれた光、創られた未来 CAT EYE since 1960 ✦
1950年(昭和25年)。戦後間もない関東の地で、一人の職人の手から「鎌倉光機株式会社」は産声を上げました。
わずか3年後の1953年、同社は双眼鏡の製造に着手し、1960年には自らの信念を込めたオリジナルブランド――「CAT EYE」を商標登録しました。
当時、鎌倉光機は日本をはじめ世界各国のメーカーに双眼鏡を供給するOEMメーカーとして発展していました。しかし1970年代、オイルショックの波が押し寄せ、各社の発注が激減。経営は危機に直面します。
それでも職人たちは諦めませんでした。自らの手で未来を切り拓くため、CAT EYEブランドを掲げて再出発。顧客を持たなかった彼らは、双眼鏡を車に積み込み、北海道から九州まで全国を行脚して販売に尽力しました。
やがてその情熱は国境を越え、イギリス、南アフリカ、台湾、中国など、海外からも「CAT EYE」ブランド名の使用を求められるまでに広がりました。
1987年、CAT EYE「NC-II 7×21 Z.CF」がグッドデザイン賞を受賞。匠の技と美意識が公式に認められた瞬間でした。
その後、再びOEM事業が復調。鎌倉光機は技術者集団としての本領を取り戻し、世界の光学業界を支え続けてきました。
そして2014年、防振(手ぶれ補正)技術の研究開発に着手。独自の「像安定化装置」として特許を取得し、2017年には防振双眼鏡を市場へ送り出しました。
その後も数々の特許を手にした鎌倉光機は、今や世界的にも防振技術のリーダー的存在として名を馳せています。
そして――2025年(令和7年)。
創造のための工房集団、合同会社Mahoが鎌倉光機より正式に生産・販売の許諾を受け、65年の時を経て防振機能を搭載した“時を超える継承”CAT EYEが再び光を放ちました。
それは、かつて全国を駆け抜けた職人たちの情熱が、現代に受け継がれた瞬間でもあります。



